・・・青く光る街に、二人でなら身を投げても・・・
・・・メランコリーの雨、その涙は悲なしくない・・・
「憂鬱の雨」作:ネコこたつ、挿し絵:menkroさん
「・・・・くそっ!うっとうしい雨だぜ!」 その日は朝からぐづついた天気だった。降るのか降らないのか曖昧な感じがしていた。 いつも聞こえる、子供達の遊び声も、車の排気ガスのにおいも 全部かきせされているかのようだった。 「ラムの・・・あほ・・・・」 そうつぶやきながら、置き傘をしていたしのぶから借りた傘を握り締めていた。 いつもは、降るか降らないかわからない時は、傘を持っていかないのが、あたるの習慣だった。 降らなければ降らないで、そのまま帰ったし 降れば降るで、ラムが持ってきていた傘に入って帰るのが普通だったからだ・・・ (・・・・ザーー・・・・・・) 事の起こりは、昨日だった。 この日も些細な事で喧嘩した二人であったが、いつもと違うのは、非がラムの方にあったことである。 「ラムーーーー!!!なんてことしてくれたんじゃー!」 「ごめんちゃー!ダーリン・・・」 しばらくの騒動の後、ラムはUFOで寝ることにし、出ていってしまった・・・ 次の日、ラムは学校には来ていたが、あたると会話することはなく 竜之介にちょっかい出して吹っ飛ばされ、面堂と真剣白刃どりをしているのにも かまわず、授業が終わるとサッサと帰ってしまったのだった。 まだ、授業が終わったばかりの頃は、雨は降っていなかったが、 あたる他数名の男子は、温泉マークに拘束され、補習をうけされられていたのだった・・・ 「若、今日はえらく早かったですね。」 「うむ。温泉の奴が珍しく連帯責任にしなかったからな。いつもあいつときたら・・・?、あれは・・ラムさん。ちょっと止めろ」 (キキッー!) 友引町が一望できる山の上で、ラムはガードレールにひじをつきながら、ぼ〜っとしていた。 「ラムさん、どうしたんです?そんな思いつめたような眼をして」 「あ、終太郎。なんでもないっちゃ。ただ、夕日がきれいだな〜っと思って・・・」 西の方角を見ると、夕日が沈もうとしていた。 見方によっては、かがやいていると言えるかもしれなかった。 「そうですか。なんだか今日は学校でも元気がないみたいでしたし、何かあったんですか?」 「んーん。別になんでもないっちゃ」 「そうですか。なんとなくおかしく見えたんですけど、気のせいでしたね」 (ポツ・・・ポツ・・・ポツ・・・) 「あぁ?雨?ラムさん、送って行きましょうか?」 「ありがと、終太郎。でも、ウチ、UFOにちょっと用事があるから、飛んで帰ることにするっちゃ」 「それじゃあ、ラムさん。また明日」 「バイバーイ(ひゅ〜〜〜ん)」 面堂は考えた。・・・何かあったな。しかし、いつもと場合がちがうみたいだな・・・と 図書室で本を読んでいたしのぶが、たまたま置いていた2本目の借りた傘をさしながら あたるは帰路についていた。 「俺が・・・あやまることないんだよな・・・」 後ろから、車のヘッドライトが近づいて来て、一瞬にしてテールライトに変わる 雨が降ると、友引町はなんとなく落ち着いているかのようにも見えた あたるは雨のせいもあって、憂鬱だった 「ただいまー。母さん、ラムは?」 「さぁ、まだ帰ってきてないけど」 「ジャリテンは?」 「なんか、朝から熱だしてるってんで、UFOで寝てるみたいよ」 「そうか・・・」 (「まだ帰ってきてない・・・また、UFOに泊まるのかな・・・」) そんな事を考えながら、2階の自分の部屋のドアを開けた、その時
(ガラッ!) ちょうど、窓から入ってきたラムと、鉢合わせになった。 「な、なんだ。帰ってきてたのか・・・」 「いや、テンちゃんの調子が悪いから、医療用ロボット取りに来ただけだっちゃ・・・」 髪と体が濡れてる点から、傘をさしてきたわけではないようだった 「ダーリン・・・」 「ん?」 「昨日は、本当にごめんっちゃ・・・」 そう言うと、医療用ロボットのパーツ一式を持って、窓から出ていこうとした・・・ 「ま、待てよ!」 驚いたラムが振り返った。少し目のあたりが濡れているのは、雨のせいではない・・・ あたるは肩に手をかけるつもりだった が、滑って、つい後ろから抱き着いているような体勢になってしまった 「もう、いいから。昨日は昨日のことだし もう怒ってないから、いいかげんに気づけよ・・・」 「うん・・・」 そのままの状態でちょっとの間いるつもりだったが・・・ 「ハックシュン!」 「わ!きたね!ずぶぬれじゃないか 風呂入ってこい。カゼうつされちゃたまらんからな」 「うん♪」 こうして、ケンカはなんとか終わり、もうあたるは雨が降るかどうかわからない日は、 傘をもっていかなくてすむようになったのだった その分、電撃リンチはくらうはめになるが・・・
〜終わり〜
なお、ラムが風呂に入ってる頃、UFOでは・・・ 「ラ・・・ラムひゃ〜〜ん・・・・し、死ぬ〜・・・・・・」 ・・・・テンは・・・・忘れられていた・・・・・
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