なつかしき日々作:TAITANさん


俺の名は五代裕作。
新潟から、大学に受験するため、東京へ来、
時計坂にある木造アパート「一刻館」に住むこととなった。
しかし、そこにいる住人は、皆、嫌な連中ばかりだった。
いつも酒を飲み、陽気なおばさん、一ノ瀬さん。
いつもネグリジェ姿の女性、朱美さん。
自分の住んでる5号室に穴を開け、
のぞきにやってくる男、四谷さん。
自分は、そこで暮らすのがつらく、一刻館を出ようとした時、
俺は、後に妻となる響子と出会った。
一目ぼれだった。
 
 
 
受験も合格し、2流私立大学に通いながら、
一刻館での生活を過ごしていた。
恋人が出来たり、恋のライバルが登場したり、
俺に恋をした女子高生が出現したりもした。
騒がしい毎日だったと思う。
それから、2、3年後に、
俺は、響子と結婚した・・・・・・。
響子は、自分より年上だけど、
楽しく過ごし、後に、娘の春香も生まれた。
しかし、俺と響子は、春香と一緒に、
一刻館の管理人室に住んでいた。
 
 
ある時、電話がかかってきた。
その時、俺は、春香と外で遊んでいた。
部屋の中にいた響子が、電話を取った。
「はい、一刻館・・・・・・。
え、あ、はい、分かりました。
あなた、電話よ。」
「電話?誰から?」
「男の人みたいだったけど・・・。」
「坂本かな・・・・。」
俺は、響子から電話の受話器を渡され、
それを耳に当てた。
「はい、もしもし。」
その時、電話から、なつかしい声が聞こえてきた。
「おぉ、チビ。久しぶりだな。」
「!! メ、メガネか!?」
 
 
電話のやり取りが終わり、俺は電話を切った。
「あなた、誰からだったの?」
「俺の友人、メガネってやつからだよ。」
「メガネ・・・・、さん?」
「確か、卒業アルバムに写真が載っていたはず・・・・。」
俺は、押し入れの中から、埃被った卒業アルバムを取り出した。
埃を払い、アルバムを開く。
「ほら、こいつ。
クラスで唯一、メガネをかけていたから、メガネっていうんだ。」
「あなたは、どこにいるの?」
「ほら、これだよ。」
「え?この、一番小さいのが!?」
「そうだよ。
確か、高校を卒業して数日経ったときだったかな。急に身長が伸び始めたのは。」
「へぇ〜。あら?この女性は?」
響子の指は、緑色の髪をした女性を指していた。
「・・・・・・・、ラムさんっていうんだ。
鬼星っていう星から来たインベーダーでね。そこに写っている諸星あたるの妻になったんだ。」
「妻?」
「ニュースでやってなかったかい?地球を賭けた鬼ごっこの生中継。」
「じゃ、その時の結婚発言で・・・・。」
「そう、ラムさんは、諸星あたるの妻になったんだ。
もっとも、数年前に、正式に結婚したんだけどね。」
皮肉にも、その結婚式の日は、俺と響子の結婚式と同じ日だった。
「・・・・・・・・・そして、俺の初恋の人でもあったんだ。」
「!!」
驚きの表情を見せる響子。
「過去の話さ。俺は、ラムさんが幸せであれば、それでいい・・・。」
「・・・・・・。」
「あ、そうそう。明日、友人たちが遊びにくるそうだよ。」
「え、明日?」
「メガネはその用件を言いに電話してきたそうだから。
皆、元気にしてるかな・・・・・・・。」

 
翌日、友引高校のメンバーがやって来た。
懐かしい顔ぶれだ。
「久しぶりだな。メガネ、カクガリ、パーマ。」
「お前もな、チビ・・・・・・。
いや、もうチビではないな。五代・・・・。」
「いつもどおり、チビでいいよ、メガネ。」
「で、隣にいる女の人が・・・・。」
「あぁ、俺の妻の響子だ。」
「初めまして。響子と申します。」
「こちらこそ初めまして。
しかしチビもやるもんだなぁ。
高校時代は、ロリコンだったのに。」
「こ、こら!!」
「あ、すまんすまん。」
そして・・・・、
「久しぶりだな、チビ。」
 
 
「久しぶり、・・・・・諸星。」
そして、諸星の隣に、初恋の人はいた。
「久しぶりだっちゃ、チビさん。」
「お久しぶりです、ラムさん。
響子、この人が昨日話したラムさん。」
「初めまして、妻の響子です。」
「初めまして、うち、ラムだっちゃ。」
「で、隣にいる子供が・・・・・。」
「あぁ、俺の息子のこけるだ。」
「こんにちは、ぼく、もろぼしこけるです!」
「ははははは、こんにちは、こける君。
もう4歳だったっけ?」
「あぁ。」
「そっか・・・・・・・・。」
「お前の春香も4歳だったな。」
「あぁ。」
「どうだ?許婚の約束をするってのは。」
「いやだね。お前のこけるが、お前に似てたら、
春香が可哀想だ。」
「ふ、言ってくれるじゃなぇか。」
「ふふふふふふ。」
「はははははは。」
「「ははははははははははははははは。」
そして、友人と楽しい一時を過ごした。
 
 
友人が去っていた後は、すごく静かだった。
「いい人たちだったわね。」
「あぁ。昔とちっとも変わってないな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「響子。ラムさんのことは気にするな。
ラムさんは、諸星の妻となった。それだけだ・・・・・。」
「・・・・・・えぇ。」
俺は、響子の肩に、手をのせ、俺のところに寄せた。
「じゃ、戻ろうか・・・・・。響子さん・・・・・。」
「・・・・・・・・・・えぇ、五代さん。」
 
 
もう青春は戻ってこない。
今はもう、なつかしい日々だったと思えるようになってきた。
けど、俺には、響子、そして、春香がいる・・・・・。
今は、2人を守るために生きていく・・・・・・・。
今、俺は、五代裕作は、とても幸せだから・・・・・。
 
 
 
 
 
<戻る>









SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送