「本当の大切な人」作:TAITANさん


ムースが死んだ。
それを聞いたとき、シャンプーは、何も喋れなかった。
ムースは、1週間前にシャンプーのプレゼントに、
中国の荒朗山の頂上に咲く「高嶺の花」を採りに行った。
そして昨日、荒朗山の山道で、土砂崩れがあり、
その現場に、アヒルの死体があったという。
(ムースが死んだせいで、こっちはいい迷惑ネ。
ムースがいないから、ムースの担当だった出前もワタシが
するハメになったネ。)
知らせが入ってから1週間、シャンプーは、いつも通りの日々を過ごした。
土曜日、出前の途中で、風林館高校に立ち寄り、
帰ろうとする乱馬に、自転車で突っ込む。
「ニーハオ、乱馬!ワタシとデートするね。」
「何でお前とデートしなきゃなんねぇんだよ!?」
「ワタシとデートする気ないあるか・・・・。」
シャンプーは、その場で泣き始める。
「お、おい、シャンプー。何も泣くことは・・。」
その瞬間、シャンプーは、頭から水を被り、猫に変身した。
「ね、ねごーーーーー!!!」
とてつもない恐怖の表情をしながら、逃げる乱馬。
乱馬を追いかけるシャンプー(猫)。
「ったく、毎度毎度のことながら、よく飽きないわね〜。」
溜め息をつきながら、その光景を見ているあかね。
(それにしても、シャンプー元気がなかったように見えたけど・・。)
シャンプーの異変に気づいてたのは、あかねだけだった。
 
夕方5時頃、やっと乱馬が、いろんな汗を流しながら、天道家に帰宅した。
「やっと、まくことが出来たか。風呂にでも入ろうっと。」
そこに、あかねがやってくる。
「ねぇ、乱馬。シャンプーおかしくなかった?」
「あ?いや、別に変わったところはなかったぜ。」
「そう・・・・・。」
(気のせいだったのかしら・・・・・・・・・・。)
 
2週間後、異変は起こり始めていた。
「チャーシューメンお待ちネ・・・・・・・・・。」
「おや、どうしたんだ?シャンプーちゃん。元気ないみたいだけど。」
「な、なに言ってるあるか、お客さん。ワタシは元気ネ。」
そうは言っても、表情で現れてしまう。異変が・・・・・。
 
1ヶ月が過ぎた時、乱馬でも、その異変が分かるようになってきた。
街を歩いてる時、シャンプーと出会っても、いつものように抱きついたりしないのである。
(どうしたんだシャンプー?なんだかいつもと違うな。そういえばあかねが、シャンプーが
おかしいって言ってたな。今のシャンプーのことを言ってたのか?)
 
 
その日の夜・・・・・・・。
シャンプーは、店のイスに座っていた。
(どこかおかしいネ。ワタシ、何か変な物食べたあるかな。)
その時、シャンプーは、ムースと一緒にいた時の事を思い出していた。
「!! なんでワタシがムースのことを考えるネ!馬鹿らしい。」
「ワタシはムースが大嫌いあるネ!そうアル。ワタシ、ムースのこと・・・。」
その時、店の戸がガラリと開いた。
「お客さんあるか?今日はもう終わりネ。また明日来るよろし。」
シャンプーが戸の方を見た瞬間、言葉を失った。
「ム、ムース!!」
「シャンプー、今帰ったぞ。」
なんと、死んだはずのムースが、目の前にいるのである。
「ム、ムース。お前死んだんじゃなかったアルか?」
「何、人聞きの悪いことを言ってるかシャンプー。おらは、この通りピンピンしとるぞ。」
「で、でも、土砂崩れの現場で、アヒルの死体があったって聞いたネ。」
「あれは、おらの作った「特性アヒル人形」じゃ。」
「ア、アヒル人形?」
「そうじゃ、山道を歩いていたら、土砂崩れが起きての。走って逃げたから助かったんじゃが、
走った拍子に、アヒル人形を落としてしまい、それが土砂崩れに巻きこまれてしまったのじゃ。
だが、結局、高嶺の花は採れなかったが・・・。」
そう言った瞬間、シャンプーは、ムースの頬を手で叩いていた。
「な、なにするんじゃ、シャン・・・・・」
ムースは、突然言葉を止めた。シャンプーが泣いていたからである。
「人に迷惑をかけて、人を心配にさせといて、よくノコノコと帰ってきたアルな。」
そう言って、シャンプーはムースに抱きついた。
「ワタシ、ムースが死んだと聞いたとき、とても悲しかったネ。ムースといた日々が終わってしまった
と思うと、胸が張り裂けそうだったアルね。もう、あんな思い、したくないアルね・・・・。」
「シャンプー・・・・。」
「もう、ワタシの前から、いなくならないでほしいね。お前は、ワタシの・・・・・。」
(ワタシの我的愛人(ウォーダアイレン)だから・・・・・。)
 
 
翌日、乱馬たちが登校してるとき、シャンプーは、自転車で乱馬に突っ込んでいった。
「ニーハオ、乱馬!ワタシとデートするね♪」
「いやだっつてんだろうが!!!」
逃げる乱馬。追いかけるシャンプー。溜め息をつきながらそれを見ている。
(それにしても、いつものシャンプーにもどっていたわね。・・・・ま、いっか。)
あかねはそのまま、学校の中へ入っていった。
 
自転車で追いかけていたシャンプー。しかし、いつの間にか、乱馬の姿が見当たらなくなった。
「シャンプー!!おらとデートするだーーー!!」
「うるさいアル!!」
蹴りでムースをぶっ飛ばすシャンプー。しかし、その顔には、笑みがこぼれていた。
いつもと同じ日がまた続くと思うと、シャンプーは、とても嬉しかった。
そして、いつも自分のことを心配してくれるムース。
(明日、ムースとデートでもしようかな。ムースの喜ぶ顔が目に浮かぶアルな。)
そう考えながら、シャンプーは、猫飯店に戻っていった。
いつもの日々が、再び始まる・・・。
 
〜終わり〜




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