「正しい夜の過ごし方」作:ちなみさん・挿絵:zukiさん

 


「何―!!旅行だぁ?!」

学校から帰って来たあたるは、先に帰って来てたラムから、あたるの母達が一泊二日の旅行に出かけた

事を聞く

「俺は、そんな話し聞いてないぞ!」

「お母様が『あたるに言うと、行くな。って言いそうだから言わないで行くのよ』って言ってたっちゃ」

「なんだとぉー!俺の今日と明日のメシはどーするんだよ!母さんと父さんのばかー!!」

玄関で大声で叫ぶあたる

 


「あら?お父さん、今、あたるの声がしませんでした?」

「そうかい?」

「・・・ま、気のせいでしょう」

「そうだね。母さん」

2人は大きな荷物を持って、今からの旅行に自分の息子のことなど忘れていた

 
 

「ったく、しょうがないよな〜・・・ま、今日は何か取るか。ラム」

あたるはラムに向かい手を差し出す

「なんだっちゃ?」

「なんだっちゃ?ってお金だよお金。貰ってるんだろ」

「預かってないっちゃよ」

「な、な、なんだとぉ!本当か?!」

「本当だっちゃ」

その場に呆然とするあたる

「き、きっと台所には何かあるっちゃよ」

にっこり笑って台所に向かうラムの後ろを呆然としながらついていく

 

台所に着くと、そこには綺麗に片付けられ食べ物の「た」の字もなかった

「・・・・」

「・・・・」

呆然と立ち尽くす2人は苦笑しながらも「冷蔵庫には何かある」と冷蔵庫を開ける

冷蔵庫の中には、ソース・タバスコ・たくあん・水のみがポツンと入っていた

「・・・・・・・・・」

ラムはタバスコをじっと見つめ、あたるの方へと向き返す

「ダーリン、うちがつく」

「嫌だ!!」

ラムの言葉を遮って、答えを述べるあたるラムは無言で見つめ返す

「・・・まだ何にも言ってないっちゃ」

「言わんでもわかるわい!」

「うちの料理が食べれないって言うのけ?!」

パリ・・・パリリ・・・・

放電しだすラムに、あたるは後ずさりする

「お、落ち着けっ!」

「ダーリンのぉ・・・ぶわかーーー!!!」

「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

・・・・・

 
 

やっとの事で、電撃から立ち直ったあたるだが、暴れたせいでお腹の虫が鳴きっぱなし中

「腹へったなぁ〜」

「だっちゃね〜」

「そ、そうだ!ランちゃん家に遊びに行こうぜ♪」

嬉しそうに飛び上がるあたるに冷たい視線を送りながら

「ランちゃんは今、レイとデートでいないっちゃよ」

「じゃぁ・・・しのぶ・・・そう!しのぶの所とか」

「しのぶは今日は家族でお食事だって言ってたっちゃ」

「・・・じゃサクラさんっ!サクラさんくらいはいるだろう!」

「サクラはチェリーと除霊しに行ったっちゃ」

「何で誰もいないんだよー!!!俺のメシーーー!!!」

大声で叫ぶと、その場にバタリと倒れる

「叫んだら・・・もっと腹減った・・・」

倒れた後、チラっとラムを覗くと、ラムはその傍らに座りながら、何か考えごとをしていた

「何を考えておるのだ?」

「・・・ダーリン・・・うち等がご飯を食べれるには・・・もぉこれしかないっちゃっ!」

「へ?」

「「・・・・・」」

 

 

「ああ、うち等には、もぉ食べれるものもないっちゃ・・・」

「そうだな・・・こうなったら・・・君を殺して僕も死ぬしかないっ!許してくれっラムぅー!」

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「諸星―!!」

突然床下から出てきた、面堂終太郎に2人はにんまり顔になる。そして玄関が乱暴に開けられ

そこからはメガネが入ってくる

「あたるぅ〜!」

ずかずかと入って来た終太郎とメガネが見たものは、台本片手に座りながらこっちをにっこりと見てる

あたるとラムの姿だった

「やったっちゃ、ダーリンっ。や〜っぱり、うちの台本が良かったっちゃ♪」

「あほっ。お前の台本を直したのは、どこの誰じゃい!」

「あははははっ」

苦笑しながらも笑顔で会話する2人のそばで、何がなんだかわからないって顔をして呆然と立ち尽くして

いる終太郎とメガネに、あたるは近づいていく

「面堂、メガネぇ、俺とラム、食うもんないんだ」

シャキーンっ!!

終太郎は刀を取り出し、あたるへ切りかかる

「ラムさんの分はいいっ!だが、なぜ、貴様の分まで出さなければいけないのだ!」

その刀を真剣白刃取りをし、歯を食いしばりながら

「ラムが良くて、俺が駄目というのかっ!それは差別だぞ!」

と、反論するあたる。そんな2人を尻目にメガネはラムに「今もってきますね」とつげ、諸星家を後に

する

終太郎とあたるは、いまだにいつ終わるとも知れない戦いを繰り広げていた。そんな様子を眺めながら

「・・・暇だっちゃね〜」

と、テレビを見出すラム

 

 

それから、数十分後メガネが食べ物を持って帰って来た。片手には酒ビンを担ぎながら

「ラ〜ムさ〜んっ」

「お帰りっちゃ。メガネさん」

「はい、お菓子です」

ラムの目の前に差し出したお菓子は、多種多様で悩むぐらいの量があった

「悩むっちゃね〜」

「全部食べちゃって下さいっラムさんの為にもって来ましたから」

「ありがとだっちゃ。あれ?なんだっちゃ?そのビン」

メガネが片手に抱えもって来たビンは、何かしたの方に青い実が浮いている液体だった

その液体は、さかのぼる事数十分前・・・・

 

 

「お菓子っお菓子っと。ラムさんに食べてもらうのだっ!ん?なんじゃ?」

メガネが自宅の台所を捜索中、台所の影の方で青い実の浮いている飲み物を発見する

「こ、こ、これは!!・・・これをラムさんに飲ませれば・・・

『うち、酔っぱらったみたい・・・眠くなっちゃった』

『僕の肩をお貸ししましょう』

『メガネさんといると、安心するっちゃ』

『ラムさん・・・獣のあたるや面堂からは僕が守ってあげます!』

『メガネさんっ!』

『ラムさん!!』

・・・何て事になるかもしれん・・・でっひゃひゃひゃひゃ!!ラムさぁん、今行きまーす!」

 

 

「おいしい飲み物ですよ。さ、お菓子と一緒にどーぞ」

「ありがとだっちゃ」

メガネが注いだ飲み物をグビグビをと飲みだすラム。すると段々、顔が赤くなりへたぁっとしだす

その様子の変化に、今まで喧嘩をしていたあたると終太郎も気付く

「ラムさん?」

「ラム?どーしたんじゃ?」

あたるがラムの肩に手をかけると、にへ〜とした顔で抱きついてくる
「う、梅酒―?!なんであんだよ!おい、ラムっ」(挿絵:zukiさん)

「ラ、ラム?!」

少し赤い顔をしながら、辺りに目を向けると
そこには梅酒と書かれた酒ビンが存在した

「う、梅酒―?!なんであんだよ!おい、ラムっ」

「なんらっちゃ?ら〜りん」

「しっかりせんかい」

ラムの体を自分から引き離そうとするが、しっかり腕を掴まれびくともしない。
そんな様子にメガネが切れない訳はなく


「あたるぅ〜ラムさんを一人占めなんて悔しすぎるっ折角、俺が梅酒を持って来たというのに!」

その一言に終太郎が、またもや刀を取り出す

「貴様!ラムさんを酔わせてなにをするともりでいたのだ!!」

「お前には関係ない事だ・・・」

「きっさまー!」

終太郎とメガネがいがみ合ってる所に、あたるが真ん中に入る

「こうなったら、誰がラムを独り占めに出来るか・・・競おうじゃないか」

「・・・いいだろう・・・」

「良かろう。して、その方法とは・・・」

「とりあえず、表に出ようじゃないか!」

「「おお!」」

終太郎とメガネは、居間を出て外へと出て行った

「ひっかかりおった・・・」

あたるは玄関を閉め、戸締りをして、終太郎が出て来た所を急いでふさぐ

「諸星!どういう事だ!!」

「あたるー!お前―!」

玄関の外で騒いでる終太郎とメガネに、あたるは高笑いをしながら返事をする

「お前等なんぞに平和な夜を邪魔されてたまるかい!じゃ〜な〜おやすみ〜面堂ちゃんメガネちゃん♪」

「諸星―!」

「あたるー!」

外で叫ぶ2人を無視し、ラムの寝ている居間に戻る

そこには、すーすーと気持ち良さそうに寝ているラムだけが存在した

「ラム・・・」

あたるはその横に座り、そっとラムの髪を撫でる

「まったく・・・」

ゥゥ

少しの間ラムを眺めていたが、急に立ち上がり自分の部屋へと走って行く。そしてかけ布団だけを

持って落ちて来るとラムに半分かけた。そして残り半分に自分の体を入れる

「・・・しょうがないだろ・・・布団一枚しか持って来れなかったんだから・・・」

誰かに言い訳するように、一人顔を赤くしながら呟く

そして、段々と睡魔があたるを襲う

「・・・・・・ム・・・」

 

 

 

 

明け方、ラムが目を覚ますと、すぐ横にあたるの顔があった

「だー・・・りん・・・」

いい夢を見ているのか、顔はにへにへと笑っていた

「うちの夢を見てくれてると・・・いいっちゃ」

ラムはあたるに擦り寄るようにして、またも眠りに落ちる

 

 

 

その頃、あたるは夢の中で・・・・

「うちの居ない所でハーレムを作るなんて・・・ダーリンの・・・ダーリンのぉ!!」

「や、やめろー!ラムぅー!」

「ぶわかーーーーーーー!!!」

ドババババババババ

「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!お、おれが何をしたぁ〜!ラムの・・・

ラムのあほぉーー!!」

 

 

 

終わり







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