「永遠の眠り姫」 作:朝霧小兎さん、挿絵:へもさん、zukiさん、 ・・・けて・・・助けて・・・寒い・・ちゃ・・・ 暗くて・・・冷たい・・・おね・・・が・・い・・・・ダー・・・リ・・・! 「!」 「・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・。」 午前2時。辺りは漆黒の闇に包まれ物音1つしない。 ラムは悪夢にうなされ目を覚ます。 額には脂汗がにじみ背中もじっとりとしている。 「また、同じ夢だっちゃ・・・。」 額の汗を拭うとラムは再び眠りについた。 「おい!ラム。起きろ!」 朝日がまぶしく、目にしみる。 珍しくあたるに起こされたラム。 「・・・ダーリン・・・。」 「早くしねぇと、先にメシ食っちまうぞ!」 ラムが目覚めたことを確認しあたるは部屋を出る。 「ねぇ、ダーリン・・・。」 「あ?」 「もし、もしうちがいなくなったらどうするっちゃ?」 登校途中、ラムはあたるの学ランの裾をひっぱり尋ねる。 「さぁな?」 つれない返事。 ラムの心は急激に不安に満たされる。 昨夜見た夢。怖い夢。 いつも見る同じ夢。悪夢。
深い深い闇の中。 頼る物は何もなく自分がそこに存在しているのかすら分からない世界。 声を出しても声に出ない。 耳を澄ましても何も聞こえない。 感じるのは孤独のみ。 冷たく寒い空気が流れる孤独の闇。 「さぁな・・・って、真剣に考えてくれてるっちゃ?」 ラムが顔を上げあたるを見ると、そこはもぬけの殻。 得意の変わり身の術で制服から抜け出したあたるは持ち前の素早さで メモを片手にガールハントをしている。 「ダーリンの・・・・ぶわかぁ〜!」 不安と苛立ちが怒りとしてあたるに爆発。朝から雷が落ちる。 いつも通りの学校生活。 下校風景も変わりない。 ラムは昨夜見た夢のことをなるべく忘れようと明るく振る舞う。 あたるはそれを知ってか知らずかやはりいつも通りに振る舞う。 そして夜。 「ねぇ、ダーリン・・・。」 「なんだよ。」 「寝るのが怖いっちゃ。」 「何で。」 「だって・・・。」 ラムは口ごもる。夢のことを思い出したから。 「ははぁ〜ん。さては、怖い夢でも見るんだろ?」 からかうような口調であたるは核心をつく。 ラムは小さく頷くだけ。 「分かったよ。一緒に寝よう。ただし!手繋ぐだけだからな!」 「・・・うん!」 暗闇に恐怖を感じるラムは部屋の電気をつけっぱなしにして寝た。 不安を感じないように。 孤独を感じないように、あたるの手を握り。 しかし、眠ればそれは別の話。 起きているときは一緒にいても、眠れば独りになる。 同じ夢のなかにまで一緒には入れない。 ラムは再び同じ夢を見る。 そして、午前2時目を覚まし夢であることを確認し再び寝る。 朝が来ていつも通りの毎日が始まる。
「・・・・ラム・・・いい加減、目ぇ醒ませよ。」 無機質的な部屋の中。生きている証の単調なリズムが響き渡る。 中央にあるのは1つのケース。 常に酸素が送り込まれ中は適温が保たれている。 そしてその中にいるのは緑の髪の少女。 その眼は開くことはなく、長い間眠り続ける。 「ラム、俺が悪かったよ。 起きたら一緒に映画見ような。一緒に食事にも行こう・・・。な。 だから・・・目ぇ、醒ませよ。ラム。」 一人の男がその少女に話しかける。涙を流しながら。
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