「あたるのキモチ」作:みゃむぅさん
 
 
ダーリンは、うちのこと嫌いなのかな。
そうラムが気にしはじめたのは、ある夢を見たときからだった。
初めのうちは気にしていなかったが、毎晩同じ夢を見るので、気になってきた。
その夢とは、このようなものである。
 
暗い。最初に思うのは暗いということだけだった。
だが、そのうち遠くのほうから光がやってくる。
よく目をこらしてみると、その光の中にあたるがいる。
「ダーリン!」と叫ぼうとするが、声が出ない。
その光はどんどん近くにくる。
「あっ・・・」そうラムが言いたくなったのも無理はない。
その光の中に、しのぶ・サクラ・お雪・弁天・了子・ラン・クラマ等、
あたると関係のある女たちがいるのだ。
その真ん中にあたるがいる。周りにいる者たちは、あたるにべったりとくっついている。
「これじゃあ、ハーレムだっちゃ・・・。」
そう言いたかった。でも、声が出ない。
あたる達は、どんどん近くにくる。「ダーリン。ダーリン!」叫びたかった。
だが、あたる達はそのまま通り過ぎてしまった。
「ダーリン!」やっと声が出た。
だが、あたるはラムがいないようにスタスタ歩いていく。
追いかけようと思った。だが、何かに足を捕まえられていて、動けなかった。
あたるがどんどん遠くにいってしまうので、ラムは悲しくなった。
「ダーリン!待ってダーリン!もう、浮気してもいいから!
お願い!待って!ダーリン。ダー・・・リン。」
その声は、届いてないようだった。ラムはもう一度声を振り絞って
「お願い!もう一度、うちの事を見て!お願い!ダーリン!」
すると、あたるがすぐ側にやってくるのだ。
「ダーリン・・・。」ほっとしていると、「お前なんか、大嫌いだ!」
と、あたるが言うのである。夢はそこで途切れてしまう。
 
「ん・・・。また同じ夢だっちゃ・・・。」
十日目ぐらいだろうか。
とても気になり、弁天とお雪とランに相談したのである。
ラン「それは、嫌な夢ねえ。」
弁天「そろそろ奴と別れたほうがいいっていうことじゃねえのか。」
ラム「そんなことないっちゃ!ダーリンはうちのこと好きだっちゃ!」
お雪「あら、本当かしら。」
そのお雪の一言で、運命の歯車が動き出したのである・・・。
 
「てぃへんだ!」
ある晴れた日曜日、あたるは珍しく家にいた。
すると、弁天の声が聞こえたのである。
あたる「弁天様ぁ!わざわざ僕に会いにきたの〜!」
弁天「よく浮気なんかしてられるなあ。下手すりゃ電撃されなくなるぞ。」
あたる「弁天様ぁ、どういうことぉ?」
弁天「つまり!ラムが死にそうだって事だよ!」
あたる「えっ・・・。そ、そりゃあいいや!電撃されなくてすむからな・・・。」
「ちったぁ、心配したらどうでぃ!」と、弁天は言いかけたが、言えなかった。
なぜなら、皿を食べていたからである。動揺しているのだろう。せんべいと間違えている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」気まずい沈黙が続いた。
弁天「と、ところでよー、ジャリテンはどうした、ジャリテンは?」
あたる「母親と旅行。」
弁天「そ、そうかあ。(んなこたあ、知ってるよ)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」また気まづい沈黙だ。
どのくらい時間がたっただろうか。弁天が、ふと思い出したように
「他の奴らにも一応言っとくか。」と小さい声で言ったのである。
あたる「えっ?!」
弁天「あっ、なんでもねぇよ。他の奴らにも言ってくんな。」
あたる「あ、あぁ。」
そして、弁天は皆に伝えに言った。
一人になったあたるは放心状態だった。
「嘘だろ。もう、辛い料理も、電撃も・・・。ラム。なあ、嘘だろ。」
泣いた。思いっきり泣いた。でも、そのうち、誰か聞いてるかもしれないと思い、声を殺した。
声を殺しながら泣いた。
泣きつかれた。頭がぼんやりしている。
いつのまにか、太陽が沈んでいる。
そのうち、弁天が帰ってきた。帰ってきたらいきなり、「早く来い!」と言った。
訳を聴いても答えてくれようとはしなかった。
 
あたるが弁天につれてこられた場所。そこに、ラムがいた。
あたる「ラ、ム・・・?」
ラン「ダーリン。遅かったわね。ラムちゃんは、ラムちゃんはもう・・・」
面堂もいつのまにか来ていた。
面堂「諸星ぃ!これはいったいどういうことだ!」
あたる「・・・・・・・・・・・。」
何も言えなかった。面堂は、本当にラムが好きだったと知っていたから。
それに、口を聞く元気もなかった。
そのうち、一歩一歩、ラムのところに近づいていった。
可愛い。あたるは、そう思った。
死に顔まで美しかった。微笑んでいた。
ラムが生きていた時には、なかなか言えなかったことが、言える気がした。
でも、今言ったところで、ラムは帰ってこない。そう思うと、言えなかった。
ラムが生き返るなら、どんなことをしてもいい!あたるは強く思った。
それを見計らったように、弁天たちが会話をし始めた。
弁天「ラム・・・。ラムはもう、戻ってこねぇのか。」
ラン「そう、なのよね。」
お雪「あら、本当に死んだのかしら。」
ラン「お雪!お前って奴はどこまで性根がくさっとるんじゃい!」
お雪「あら、そういう意味じゃないのよ。」
弁天「どういう意味だ。」
お雪「まだ死んでないかもっていっているのよ。
最近流行っている病気で、いったん仮死状態になる病気があるのよ。
それにラムはかかって仮死状態になっているかも。と言っているのよ。」
弁天「そ、そうなのか!なら、どうやって治すんだ!」
お雪「ただの可能性よ。治し方は、」
お雪が、治し方について話そうとしたとたん、
ラン「わいが言う。いいか。その空っぽの頭に叩き込んどけ!
・・・両思いの人にキスしてもらえば生き返るわよ。
ラムちゃんの場合は、ダーリンね。」
弁天「なら、無理じゃねえのか。キスなんて出来そうにもないし、第一、両思いかどうかも・・・」
お雪「もし、両思いじゃない人がキスしたら、ラムは死んでしまうわよ。」
あたるは、耳を済まして聞いていた。
そして、悩んだ。キスすればラムは生き返る。
だが、両思いじゃなかったら・・・?
ラムは死ぬ。だけど、このまま仮死状態にしとくのも嫌だ。
あたるは悩んだが、キスすることにした。
このままなら、死んだも同然なのだ。
すぐ近くにラムの顔がある。そっと目を閉じて・・・。
そのとたん、ラムが夢から覚めたように、目をゆっくりと開けた。
そして、ガバッ!と起き上がると、
「ダーリン!うち嬉しいっちゃ!本当にキスしてくれたっちゃ!
あっ、弁天達も有難うvvvおかげで、ダーリンの気持ちがよく分かったっちゃvvv」
そう、これは仕組まれたことだったのだ。
好きかどうかを調べるために、嘘をついていたのだ。
ラム「えへっ。ダーリンから、キスしてもらえるなんて、うち幸せっ!」
あたる「だまされて馬鹿みたいじゃっ!」








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