「神がくれた奇跡」作:TAITANさん



俺が19歳の時、
ラムが死んだ。
交通事故だった。
 
 
ラムは、俺に手料理をごちそうするために、
商店街に買い物にいった。
その帰り道、
転がったボールを追いかけ、
1人の少年が、道路へと入った。
その少年のところに、トラックが突っ込んできたらしい。
その少年を助けようと、ラムは、
少年の身代わりとなって、はねられた・・・・・。
 
 
 
「ラムちゃん、嘘でしょ?目を開けて・・・。」
「そ、そんな・・・・。」
「ラ、ラムさん・・・・・・・。」
「ラムちゃん、なんで、ワイより先に逝ってしまうんや・・・・・。」
霊安室で、皆の泣く声がする。
その時の俺の心は、悲しい気持ちより、
人がこうも簡単に死ぬのかという空しい気持ちがあった。
いつも、電撃をかますラム。
くそ辛い料理を作るラム。
時々、かわいい笑顔を見せるラム。
しかし、その笑顔はもう見れないのだ・・・。
 
 
「夕陽が見える丘1丁目」
そこの霊園に、ラムの墓がある。
いつの間にか、俺は、
毎日、墓参りに来ていた。
「ほら、ラム。お前の好きなウメボシだ。」
そう言って俺は、梅酒を、ラムの墓の前に置いた。
「そう言えば、学校を卒業した後、
2人で、卒業パーティをやったっけ。」
卒業式の夜、俺とラムは、
家で卒業パーティをしていた。
結構いいムードだったが、
いつものごとく、面堂やメガネたちが乱入。
宴会騒ぎになってしまった。
 
 
 
「突然・・・・、逝っちまうなんてよ・・・。」
いつの間にか、俺はこう言っていた。
「なんで・・・・、先に逝っちまったんだ?」
「これから、俺はどうすればいいんだ?」
今までの思い出が、走馬灯の様に駆け巡る。
 
 
 
「なぁ、ラム。
もう、ガールハントなんかしない。
お前を、邪魔者扱いなんかしない。
週に1回ぐらい、デートに行ってやる。
それに・・・、
結婚もしてやる・・・・・。
だから・・・、だから・・・・・・。」
 
 
 
いつの間にか俺は、大粒の涙をポロポロと出していた。
もはや俺は、神に懺悔している様になっていた。
「生きかえってくれよ、ラム。
また、一緒に暮らそうよ。
お前しか、愛さないから。
お前しか、好きにならないから・・・・。
だから、生きかえってくれ・・・・。」
 
 
 
「今の言葉、本当だっちゃ?」
「え?」
俺が後ろを振り向くと、あのラムがいた。
「え?あれ?な、なんでラムが???」
「うち、神様にお願いしたっちゃ。
ダーリンが、好きだって言ってくれたら、生きかえらせてくれって。」
「お前、とんでもないお願いしやがるなぁ・・・。」
「で、ダーリン。さっきの言葉、本当だっちゃ?」
「さぁな・・・・。」
「ダーリンの・・・・、バカーーーーー!!!」
「ぎゃーーーーーーー!!!」
俺は、電撃を、おもいっきしくらった。
しかし、これで、ラムが生きかえってくれたってことが実感できた。
「さ、ダーリン。一緒に帰ろ!」
「ちょっと、約束してくれないか?」
「? 何だっちゃ?」
「俺より・・・、先に逝かないでくれ・・・・。」
「ダーリン・・・・・。」
「もう、悲しい思いをしたくないから。」
そう言って、俺はラムを抱いた。
そして、優しく、ラムにキスした。
 
 
これは、神がくれた奇跡かもしれない・・・・。
 
 
 
 
 

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