今宵は聖なる夜・・・あなたはどんなクリスマスプレゼントがほしい?
え?TVゲーム?DVDプレイヤー?何?彼女?
ははは、そんな即物的な事言わないで。
今日はクリスマス、神様はどんな願い事だって叶えてくれるはず。
そう、こんな願いも・・・



「小さな願い」作:PKOさん、挿絵:kyouさん



「こら〜!またんかジャリテ〜ン!!」
「へ〜ん、お前の様なあほに捕まるかい〜!」
今日は十二月二十五日、クリスマス。
そんな日であろうとなんだろうこの二人はいつも通り。
寒空の中あたるとテンはおいかけっこをしていた。
「こら〜、ダーリンやめるっちゃ〜!テンちゃんも!ダーリンをからかわないで!」
ラムがその二人の後を追いかける、そこに・・・・
「ふっ、今日はクリスマスだというのに進歩のない奴だな諸星。」
道の脇からタコ車に乗って面堂が姿を現した。
「なんじゃい面堂。わざわざタコなんぞに乗っていやみでもいいにきたか。」
睨み付けながらあたるが言う。
「ふん、今日は面堂家でクリスマスパーティーをやるので寛大な僕は庶民のお前らも誘ってやろうとしたのだ!あっ、ラムさんは特別ですよ〜♪」
ラムに対してはがらりと声色を変える面堂。
「パーティーやるのけ?いくっちゃ〜!」
ラムはうれしそうに飛び跳ねた。
「なんだと!食いもんとかやっぱ豪勢なのか!?サクラさんやしのぶ達は!?」
「ああ、しのぶさん達ももう会場に着いているはずだ。チェリーも一緒だがな・・・」
心底いやな表情で呟く。
「う・・・まあいい、俺も行くぞ!」
こうしてラムとあたるは面堂について屋敷に向かおうとしたが・・・
「こら〜!わいの立場がないやないけ〜!勝負せんか〜い!」
忘れ去られていたジャリテンが抗議する。
「悪いがな・・・」
むんず
「ガキの相手してる暇は無くなったんだ〜!」
パコ〜ン!!
あたるのフライパンはテンをいい感じに飛ばした。
「君も「僕の」パーティーに来たかったら来てもいいぞ〜」
飛んでくテンに向かって「僕」と言う言葉を強調しながら面堂は言った。
「あほ〜!誰がお前なんかのとこにいくか〜い!」
きりもみ回転しながらテンは精一杯の強がりを言うのであった・・・・


「くっそ〜・・・これからどないしよか・・・」
上空でふよふよ浮きあがらテンは呟いた。
「今更あのアホの家に行くのもしゃくやしな〜・・・誰か遊んでくれる奴おらへんかな〜。」
そんな事を考えながらふとテンは一人の少女の事を思い出した。
「そういえば・・・小鳥ちゃんどないしてるんやろ・・・」
結局一緒にかくれんぼをしないまま成仏してしまった小鳥、彼女の事を考える時いつも何か不思議な思いにとらわれる。
「もう一度会いたいな〜・・・」
今日はクリスマス。ちょっとぐらい願いが叶っても・・・
すると・・・
「テンちゃん、呼んだ?」


・・・・今の声は・・・・


「小鳥ちゃん!」
間違いなくあの声は小鳥ちゃんだ!
テンは無我夢中で回りを見回した。
すると自分のすぐ真後ろに小鳥がいるではないか!
「小鳥ちゃ〜ん!」
目に半ば涙を浮かべながらテンは小鳥に抱きついた。
「けど・・・なんでなん?」
「神様がね、ちょっとだけならいいって許してもらったの。だから・・・ね、一緒に遊ぼ!」
「う、うん!」


こうして・・・二人は鬼ごっこ、缶けり、そしてかくれんぼなどをしてその時を楽しくすごした。
あたかもそれが永遠に続くように・・・



そして・・・

「はあ・・はあ・・・なあ!次は何して遊ぶ!?」
テンは肩で息しながらも楽しげに小鳥に聞く。

しかし小鳥は俯きながら言った。

「・・・ごめんね、テンちゃん。もう・・・時間なの・・・」
確かに空を見るともう日は沈みかけ綺麗な夕日はまもなくその姿を消そうとしている。
だがテンは聞かなかった。

なぜならそれを認めるとどうなるか分かっていたから

「だって・・・もうこれで最後なんやろ!?もう会われへんなってまうんやろ!?そんなん・・・そんなんいやや!」

泣きながらテンは首を横に振る。

「本当にごめんね・・・けど仕方がないの。お願い、泣かないで・・・」
「・・・っぐすっ・・えぐっ・・」
「泣きやんだ?うん、強い子ね。・・・これはご褒美!」

チュッ

「なっ、ななな!?」
突如頬を襲う唇の感触にとまどい真っ赤になるテン。
「うふふ、唇の方がよかった?」
その言葉を聞いてさらに赤くなる。
「冗談よ♪」
微笑みながら小鳥は言った。
「これで・・・本当に、本当に最後のお別れになっちゃうけどね、あたしはいつもテンちゃんの心の中にいる。
そしてずっと忘れなかってくれたら・・・いつかまた必ず会えるから!」

そう言うと小鳥は空高く舞い上がり始めた。

「こっ、小鳥ちゃん!いかんといて!」
「だーめ、テンちゃんは強い子でしょ。それにお別れといっても信じていればいつか必ずまた会えるわ・・・」
「・・・分かった!僕強い子や!だから・・・ずっと待ってるから!」


「ふふふ、ま・た・ね!」(挿絵:kyouさん)

小鳥の姿が段々見えなくなってくる。
「・・・あ、そうだ。」
思い出したように小鳥は言った。
「もう一つね、プレゼントがあるの。けどそれは後のお楽しみ・・・」
「え?何それ?」
「ふふふ、ま・た・ね!」
返事をせぬまま小鳥は夕日の光の中に消えていった

「小鳥ちゃん・・・」
涙があふれそうになる、しかし決して泣いてはいけない。
強い子になるって約束したのだから。
それに小鳥は最後に「またね」と言った。だから・・・絶対また会える!
「小鳥ちゃん、また・・・また会おうな!」
涙をこらえながらテンは空に向かって誓った。



下を見るとあたるがパーティーからの帰路についている。
結局パーティーには行けずじまいだった。けど全然悔しくなんか無い。
それとは比べものにならない経験をしたのだから。

「お〜い!どんなパーティーやった〜!?」
涙を拭いてさっきまでの思いを臆面もださないようにテンは下に降りていった。
「なんだジャリテンか。結局来なかったなお前。何しとったんじゃい?」
「ふん、あほには関係ない事や〜。」
「何い!こいつ!」
そしてまたいつもの追いかけっこ。

すると・・・
「ん・・?雪だ・・・」
さっきまでは一面に晴れ夕日が綺麗だった空から何故か雪が降ってきた。
「おかしいな・・・確か天気予報じゃ雨や雪は絶対ないとか言ってたが・・・」
あたるが不思議そうに首を傾げる。
「そうか・・・これがプレゼント・・・」

そう、正に神様からの贈り物・・・

「あん?何言っとんじゃい。それにお前、泣いてるのか?」
「ち、違うわい!」
そう言いすでに積もり始めている雪を丸めてあたるにぶつける。
「うわっ、何すんじゃいこいつ!」
「へへ〜ん、雪合戦や!かかってこんか〜い。」
「このお!ジャリテンのくせに!」



そんな様子を雲の上から眺めながら小鳥は笑っていた。
「メリークリスマス、テンちゃん・・・」


まあ、これから十年後の事。
テンの学校に転校生なんかきちゃったりして。
その子の名前が「小鳥」なんてゆうのはそりゃまた別の話ということで・・・

Fin




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