第六話
○面堂邸・終太郎の間(夜)
ベットに座り込み、思いつめた顔をしている面堂。
グラサン「若。チェリー法師が若にお会いになりたいと申しておりますが?」
面堂「追い返せ、今は誰とも会いたくない」
グラサン「そうですか・・・」
静かに去っていくグラサン。
面堂「ラムさん・・・」
チェリー「どうした、元気ないの〜」
面堂「貴様!!いつの間に!?」
チェリー「しかし、お主もいつまでもグチグチ未練を残して、泣きたいのなら泣けばよかろうに」
面堂「貴様の知ってことではない」
チェリー「情けないの〜」
面堂「なにがだ!?」
思わずチェリーのむなぐらを掴み怒鳴りつける面堂。
チェリー「あたるは、ラムの気持ちを十分理解した上で、この試練とも言える出来事を乗り越えようとしている!!
しかしおぬしはどうじゃ。ラムの気持ちも理解せず、ただラムとの思い出をかき出して、うじうじしてるだけではないか!!」
面堂「ラムさんの気持ちだと?」
チェリー「そうじゃラムはみんなの幸せを願っとる!あたるもそれに気付いたから今は精一杯泣いて、立ち直ろうとしている」
面堂「あたるが・・・?」
チェリー「どうじゃ、肩の力を抜いて、今は思いっきり泣いて明後日の告別式でラムを笑顔で送り出そうじゃないか
わしが言いたいのはそれだけじゃ、お主もあたる同様、強い男じゃ。それだけで充分じゃろ〜」
静かに部屋を出て行くチェリー。
○面堂邸・門の外(夜)
グラサン「それでは、おやすみなさい」
チェリー「うむ。晩飯、馳走になった。実に美味かった」
面堂の声「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!ラムさぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!
うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
グラサン「なっ何の雄叫びだ!?ゴジラが!?キングギドラか!?」
チェリー「頑張るのじゃぞ」
ぼそっとつぶやくチェリー、街へと歩き出す。
面堂の声「ラ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ムさぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
グラサン「戦闘部隊!!謎の雄叫びに注意せよ!!直ちに戦闘配置につけ!!」
○総合病院・外(夜)
病院を見上げるチェリー。
メガネの声「ラ〜〜〜ムさぁ〜〜〜ん!!ラ〜〜〜〜〜ムさぁ〜〜〜〜〜ん!!ラ〜〜〜〜〜〜ムさぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!
ラ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ムすわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
看護婦の声「先生!!204号室の方、また発作が出ました!!」
医師の声「急いで鎮痛剤をもってこい!!」
メガネの母「先生!!家の息子は大丈夫なんですか!?治るんですか!?治してくれるんですか!?」
医師の声「奥さん落ち着いて、まずあなたが冷静にならないと。大丈夫、今、息子さんは一生懸命戦ってるんです。
奥さんあなたが支えになってあげないと、しばらくして、ある程度落ち着いたら、カウンセリングで心のケアーをして
大丈夫、きっとよくなります」
メガネの母「よろしくお願いします」
チェリー「頑張るのじゃぞメガネ・・・。お主もきっと立ち直れる、頑張るのじゃぞ」
薄らと涙を浮かべるチェリー。再び歩き出す。
○友引高校・保健室(夜)
イスに座り考え事をしているサクラ。
チェリーの声「サクラ、入るぞ」
サクラ「叔父上・・・」
チェリー「こんな遅くまで、早く寝ないとお前まで参ってしまうぞ。ただでさえ精神的に疲れてるというのに」
サクラ「叔父上、わしは無力じゃった。魂獣喰の仕業と気付いたにもかかわらず、霊能力者としてどうすることも出来なかった」
チェリー「わしとて同じじゃ」
サクラ「・・・・・・・・・」
校長の声「人間は無力なのでしょうか?」
サクラ「校長!!」
校長「私は思うんですが、人間は優遇されるために生きているのではないでしょうか。
自分が優遇されるために人を劣等することもまた人間なのではないでしょうか。
優遇されることにより人は生きてることを満喫し必要とされてることを
実感するのではないのでしょうか。人間は必ず一つは人よりも優れた部分があります。
しかし残念なことにそれを感じることが出来ずにただただ人生という時流を流れているだけの人も数多くいます。
ところが錯乱坊さんやサクラさんは人より秀でた部分、つまり霊能力で
数々の事件を解決して多くの人々を救ったのではないですか?無力なんかではありませんよ」
サクラ「校長・・・・」
○葬祭会館・式場(夕)
ラムの棺桶の前で念仏を唱えるチェリー。
チェリー「南無阿弥陀部南無阿弥陀部南無阿弥陀部法説上来示人葬送明確善後胡散人斬陣爛・・・」
そこへ激しい爆音と供にバイクが突っ込んでくる。
弁天「コラ〜!!ラム!!てめ〜あたいらを置いて、先に逝っちまいやがって〜バッキャロ〜あたいらおいて勝手に逝く奴があるか!!」
泣きながら叫ぶ弁天。
お雪「止めなさい弁天!!今は神聖な式の最中ですよ。第一笑顔で送り出そうなって言ったのはあなたじゃない」
弁天「だけどよ、実際この目で見ると・・・なんかこみ上げてきてよ・・・」
目頭を抑えて奥へ消える弁天。
ラン「べっ弁天!!」
お雪「そっちは親戚一同の部屋よ」
ラン「お前、こんな時でも冷静やねんな・・・」
○同・親戚室(夜)
チェリー「これで、告別の義は終わりました」
ラムの父「ありがとうございました」
あたるの母「この度は大変・・・ラムちゃんは明るくて、家にいるだけで家の中が明るくなりましたし・・・」
泣き出すあたるの母。
ラムの父「泣かんとって下さい!!何があっても笑顔で送り出してやってください」
必死に涙をこらえるラムの父
あたるの母「すみません、つい・・・」
再び泣き出しハンカチで涙を拭くあたるの母。
ラムの父「今までお世話になりました。きっとラムもよろこんどると思います」
深々と礼をするラムの父。
あたるの母「こちらこそ・・・」
チェリー「では、ご遺族の希望により、埋葬は地球でよろしかったですね?」
ラムの父「はい、ラムは地球が好きやったし、やっぱり婿はんの近くがいいと思いますんで」
○同・式場(夜)
ラムの棺の前に立ち、ラムの顔を見ているあたる。
あたる「結局なんもしてやれんかったな・・・考えてみれば、お前が地球に来てあっという間だったな。
今思い出せば、色々あったけど、本当にあっという間だったな・・・正直、最後になんて言ったらいいか分からん
ありがとう、でもないような気がするし、さよならも違う。色々ありすぎて何言っていいかわかんないんだよ。
何か言おうと思う度、悲しくなっちまうんだよ」
涙を拭くあたる。
あたる「・・・ごめんな」
○電車・車内(朝)
スーツを着て電車のイスに座ってるあたる。
あたるのナレーション「その後みんながどうなったかというと、
面堂は高校卒業後アメリカに行ってアメリカ支店の社長になったらしい
再来年は日本に帰ってきて日本の本社の社長になるとか。随分と遠い存在になったもんだ・・・。
一方メガネの方は今もなお精神病院への通院は続けているが、早稲田大学を首席で入学して首席で卒業したそうだ。
ランちゃんは、卒業後星に帰ったが地球が気に入ったらしく、弁天様とお雪さんとの3人でちょくちょく地球に遊びに来る。
竜ちゃんはあの秀でた体力を生かしてプロレス界に身を投じたらしい。えっ?女子プロかって?さぁ・・・
しのぶの方は間違いなく女子プロだけど・・・
ジャリテンは家に帰るのが嫌でまだ地球にいるが、俺の家はラムを思い出すからって、
サクラさんちに生息しとるみたいだが何とも計算高いガキだ・・・。俺はというと・・・」
車掌のアナウンス「次は仏滅、仏滅」
あたる「仏滅!?」
驚くあたる。思わず声を出す。
あたるのナレーション「そう俺は今日、就職面接に向かっている最中なのだ。三流大学を三流の成績で卒業した
俺としては、この就職戦線は非常に・・・。とにかくなんとしても今日は決めておかないと・・・ラムのことは・・・
正直、1日足りとも忘れたことがないし、思い出さない日はない。けれども思い出として語れるくらいまで気持ちの整理はついた」
車掌のアナウンス「仏滅、仏滅。お忘れ物の内容にお降りください」
電車を降りるあたる。
○仏滅駅・ホーム(朝)
あたる「9時4分か大安物産まで仏滅駅からだと大体・・・1時間半・・・面接は10時・・・俺の足なら間に合う!!」
勢いよく走り出すあたる。
あたるのナレーション「早めに家を出といてよかった・・・いやいや、とにかく今は就職を決めて
きっとラムの分まで幸せになってやるからな!見といてくれよ、ラム!!」
〜完〜
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