同窓会当日。 その日は見事な快晴で、お天道様までもが友引高校卒業生達の再会を楽しみにしてい るかのようにらんらんと照っていた。 時はすでに2時丁度。予定時刻まであと1時間有るが、万が一迷子になんてなってし まっては格好悪いので早めに家を出る事にした竜之介。 「行ってくるぜ、おやじ!」 そう言うと軽やかな足取りで駆け出して行った。 家を出て約30分。本来ならもうとっくに到着してもおかしくないのだが 「っかしい〜なあ。」 と言いながら地図を片手に同じ所を行ったり来たり、かれこれ15分程している竜之 介。(見事に何も無い場所なのである) 「っかしい〜なあ。」 ここでは未だ2回しかこの「っかしい〜なあ。」発言が出ていないが、実際は数十回 も言っているのである。側から見たら竜之介の方が十分おかしい。 「っかしい〜なあ、地図だとここらへんだって描いてあんのに何もねえじゃねえか。 ・・・よし、誰かに聞いてみるか?」 なあ〜んて、自分の周りには猫1匹いないのを知っていながら、あえて言ってみたの は少しでも自分自身を励まそうとしている現われであろう。もし、誰か居たのなら とっくに聞いていたに違いない。 「ちっくしょお〜!何てトコなんだここは!!人ひとり居ないなんて、これじゃあ〜 真冬の浜茶屋を思い出しちゃうじゃねえかっ!!!」 いささか辛く、惨めな思い出を思い出してしまいつつ、足はある方向へと向かい歩き 始めていた。 「こーなったら奥の手だぜっ!」 そう呟きながら竜之介は足を速めた。 その奥の手はというと・・・・ 「すんませ〜ん。」 「はいはい、どうしました?」 何の事はない。来た道を引き返して交番へ尋ねに行っただけである。 「この地図に描いてあるトコに行きてえんだけど・・・。」 と、地図を広げ見せる竜之介。 「えー、Mホテルですね。」 と、警察官。 「ああ。実はさっき行ってみたんだけど見つかんなくってよお。」 「そうですか。でも・・・おかしいですねえ?この地図通りに行けば見付かるはずな のに・・・この地図感心する程良く出来てますから。」 普通ならここはカチンとくる場面だが、竜之介がそうこなかったのはこの警察官の何 の悪気の無い口調と雰囲気のせいだろう。『正義の為に僕が市民を守ります!』の キャッチフレーズに1番ぴったりくる人物である。 「では、ご案内しましょうか?」 まるで何処かのホテルの案内人のような口調で言う警察官。 こいつ、昔どこかのサービス業か何かのアルバイトでもやってたんじゃねえか?と、 要らん事を思いながら竜之介は同行を求めた。 「着きましたよ。」 10分程歩いて、そう言われ 「・・・・は!?」 周りを見渡した竜之介があっけらかんと言った。 場所はやはりさっきまで竜之介がうろうろしていた所のすぐ近くで、これまたさっき と同様何も無い(もちろん人の影も無い)所だったのである。探しているホテルでさ えも見付からないときた。 こいつ、分かってんのかっ!?と、怒鳴りたい気持ちを必死に押さえ竜之介は苦笑い で 「おい、おれはMホテルに行きてえんだ。分かってるよなあ?」 と言うと、警察官は何故か得意げに 「はい。ですから着きました、と。」 と、営業スマイル。 「着いた、って・・・・何もねえじゃねえか。」 半ば苦笑いも限界に達してきた竜之介はそれでも怒鳴りたい気持ちを必死に必死に押 さえ、言った。時間が無えんだよ、おれはっ! 「ですから、ここですって。」 そう言いながら警察官は信じられない所を指差した。 「・・・・・地面?」 「正確には地下ですね。ご存じないようなので説明させて頂きますが、Mホテルは世 界初の地下型ホテルなんですよ。地下8階まで有るそうで、何でもオーナーの希望で たこの足と同じにしたとの噂です。」 警察官の話がどうも信じられない竜之介だが地面に不自然に設置されてる面堂家の家 紋のはいったスイッチを見て納得した。 面堂んちならこ〜ゆ〜の造りかねねえ・・・・。 そう頭で納得し、警察官にお礼をするとスイッチを恐る恐る押す。すると・・・・ (ゴ・・・ゴゴ・・ゴゴゴゴゴ・・・・ゴッ・・・) 「なっ、何だあ!?」 いきなり地面が割れ、激しくも揺れ、竜之介は引っくり返ってしまった。揺れがおさ まり、ぱっくりと割れた『溝』には地下へと続く長いエレベーターが現れ、ゆっくり と動き始めたのだった・・・・。 つづく
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