第6話


その日は珍しい・・・いや、もう珍しくない客が友引大学・購買部へ再びやって来た。
「ごめんくださーい。」
「ごめんくだあい、だっちゃ。」
そう。地球人のしのぶと宇宙人(インベーダー)のラムだ。

「・・・で、今日はどうしたんだ?」
本当は2人が何の用でやって来たのかくらい容易に想像出来るが、あえて挨拶代わりに聞いてみた。
「いやねえ、決まってるじゃない。同窓会の件よ。」
それ以外に何のようで再度ここまで来っていうのよ?とでも言いたそうな表情で言う
しのぶ。本人は決してそんなつもりはないが、今の竜之介にはそうとしか思えなかった。
誰がわざわざ好き好んで同窓会っていう集まりで乱闘防止隊員(?)みたいな事をや
んねえといけねえってんだよなあ、普通に楽しむってんならともかく。と、まあこれ
が今現在の竜之介の心の声である。
「もう、1日経ったから少しは竜之介も行く気になったんじゃないかなって・・・・
どうだっちゃ?行く気になったっちゃ?」
少し控えめに言うラムの優しい思いやりの心を完全無視して竜之介は
「いや、全然?」
と、控えめに(?)疑問系にしながら即答した。

「あっ、いや、それが違うのよ。」
いったい何が違うのかさっぱりだが、とにかく突然しのぶがそう言った。
「・・・・違うって何が?」
肩をすくめ、一息ついてから竜之介がそう問うと、ラムが一枚の紙を目の前でひらめ
かせた。その紙には何やら文字がずらりと書いてあるが、
何しろラムが必要以上にひらひらさせているのでさっぱり読めない。
「いいから、何も聞かずにこの紙に書いてある事項をよ〜っく読むっちゃ。一字も抜
かしたら駄目だっちゃよ〜、解らない所が有ったら遠慮無く聞くっちゃ。」
そう言うと、目の前に盛ってあった山盛りのみかんから1つ血色(?)の良いみかん
を手に取るラム。ちなみに、愛媛産のようだ。
何だかよく分からないが、とにかくその紙を受け取り一字も抜かさず慎重に読み始め
る竜之介。奇跡か実力か!?解らない個所が1つも無かったお陰であっという間に読み終えてしまった。
何の事はない、同窓会のプログラムである。
「・・・これがどうしたってんでえ?」
と、プログラムの紙を目茶苦茶に折りたたみながら言う竜之介。
この行動から解るように、竜之介はやはり同総会には行きたくない模様。
「これがどうしたってんでえ・・・・って。それ読んでみて何か気が付かなかった、
竜之介くん?」
半ば呆れながら言うしのぶに対して又しても竜之介は
「だから、これがどうしたってんでえ?」
・・・・・・・と、突然
「ひゃあ、ふひはへふめひふるっひゃっ!」(「じゃあ、うちが説明するっ
ちゃっ!」)
みかんを目一杯ほお張ったラムが右腕を高々と挙げて、は行が馬鹿に多い声を発し
た。

「いいっちゃ、竜之介?」
「おう。」
先ほど竜之介が目茶苦茶に折りたたんだプログラムを3人で囲みながら、いささか緊
張した面持ちで説明会(?)は開始された。
「まず、もう一度この紙の事項を注意してよ〜っく読むっちゃ。」
「おう。」
言われた通りもう一度注意深く読んではみるが・・・・特にこれといった事は何も書
いていない。
「どうだっちゃ?何か不可解な所は有るっちゃ?」
「いや、特に何も無えけ・・・」
ど。と言おうとした所で
「そこなのよっ!」
いきなりしのぶが声を張り上げた。
「なっ、何だよいきなり。びっくりするじゃねえか、何の予告も無しに大声出すなん
て・・・。」
そう言いながら胸に手をあてる竜之介。よっぽど驚いたと思えよう。
「あら、ごめんね。」
ちっとも申し訳ないと思えない口調でさっさとそう謝罪すると話を続けた。
「いい?さっき竜之介くんはそのプログラムについて何も不可解な所は無いって言っ
たわよね。そこなのよっ!!」
先ほどからそこなのよっ!そこなのよっ!!を連呼しているしのぶに対して竜之介は
素直に
「・・・一体何がそこなんだってんだあ?」
と、問う。
「いい?このプログラム、あたるくんが考えたのよ?」
「・・・だろうな。」
「何か思わないの?」
「いやあ〜、全く?」
「いいわ、じゃあ、このプログラムの流れを読んでみて。」
そう言ってプログラムを竜之介に手渡すしのぶ。
「・・・えっと、まずは開会の儀。んで、校長挨拶、担任挨拶、思い出のアルバム写
真公開、思い出の行事ビデオ公開、豪華食事、ビンゴ大会、雑談、閉会の儀で終了。
・・・・・・これで良いのか?」
見事(?)に一字も抜かさず、間違えずに読み上げた竜之介。
「どうもありがとう。それで、何か気が付いた?」
一体しのぶは何を言いたいのか、全くもって分からない竜之介。
「つまりは何が言いてえんだ?」

「つぅ〜まぁ〜りぃ〜・・・・・・・」

いきなりラムがみかん片手に現れた。
どうやら竜之介としのぶが話している間またもやみかんを頂いていたようである。ご
丁寧に何処から持ち出したのか、タバスコまでしっかりもう一方の手の中に収まっていた。
「つまり、しのぶが言いたいのはこのプログラム思っていたよりもマシ・・・と言う
よりシンプルだった、って事だっちゃ。うちら昨日、ダーリンが考えたプログラムだ
から乱闘みたいな事が起こるかもしれないって言ったけど、このプログラムだとその
可能性は物凄く低いっちゃ。だから、普通に楽しむ為に来れるって事だっちゃよ〜。
何か訳分からなくなってきたっちゃねえ〜。」
一通り説明すると喉が渇いたのか、手に有るタバスコをぐいっと一息で飲んでしまっ
た。飲んだ本人は喉が潤って結構だが、それを見ていた方は逆に喉が渇いてしまった。
「・・・・あっ、そう、そういう事なのよ。どう、もう行く気になった?」
しばしタバスコに見入っていた(?)しのぶが思い出したように質問した。
まあ、普通に楽しめるってんならなあ。と思った竜之介は
「ん。じゃあ、行こうかな?」

つづく 



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