第二話


 いきなりデート当日。
本来、男になんか興味が無い竜之介だが
『ミニスカ』と『ブーツ』につられデートをする事になった。
にしても、あの男は一体何者なのだろう?東海林 祭という名だけは知っているが
あとは何も知らない。
それに何故、東海林は初対面でいきなり竜之介が女だと見抜いたのであろう??
もしかしたら、初対面ではないのだろうか…。

 「竜之介、ハンカチ持ったか?ちり紙持ったか??」
丁度帰って来た浜茶屋のおやじが、いそいそと聞いている。
「うるせえな、何浮かれてんだよ。」
ネクタイを締めながら、おやじに眼をやる竜之介。
「今日はめでたいデートではないか!これが喜ばずにいられるか!!」
いきなり真面目な顔をつくるおやじ。どうやら、女の子とデートすると勘違いしているらしい。
一言も竜之介は「女の子とデートする!」とは言っていないのに…。
そんなおやじの勘違いはそっちのけで、竜之介はさっさと家を出た。
(アホが…帰って来たおれを見て驚きやがれ!今日は一日、東海林に付き合ってやって
そんで憧れのミニスカとブーツを貰ったらそれを着て帰って来るんでえっ!!)
ミニスカとブーツの事で頭が一杯の竜之介。そんな竜之介の背後から大きな声援が聞こえてきた。
「ばんざーい、よっ色男っ!!」
……浜茶屋のおやじであった。

 
待ち合わせの友引高校に着くと、東海林の姿が見えた。右手には茶色の紙袋がしっかりと握られている。
多分、憧れの『あれら』であろう。
「やあっ!」
朝の光よりも、爽やかに言う東海林 祭。憎いくらいに、可愛い表情をつくっている。
「おすっ!」
普通に答える竜之介。
「それにしても良かった、ちゃんと来てくれて。」
頭を左手でかきながら照れる東海林。ずいぶん、嬉しそうだ。
「いやあ〜、おめえの誠意に感動してよお〜…。」
ぎこちなく笑う竜之介。だが、本音はと言うと………
(ずっと夢だったミニスカとブーツがもうすぐおれの物になるんだ!バイトだと思えばでえとくらい…。)
なあーんて、失礼な事を思っていたのであった。

 「それよりよお〜…」
話を切り出す竜之介。ここは、友引高校の近所の『猫食堂』。久しぶりという事で
ここで食事をとる事にした二人。
「おめえ、何でおれをでえとに誘ったんだ?初対面だってのに。」
たこ焼をがっつき…いや、食べながら尋ねる竜之介。
「やだなあ、初対面なんかじゃないよ。これでも一様、友引高校を一緒に卒業したんだけどなあ…。」
苦笑いしながら答える東海林。なるほど、である。だから、東海林は竜之介が女だと知っていたのだ。
「なんでい、そうだったのか…。でもよお、おれ、おめえなんて知らなかったぜ。原作に出てたか?」
たこ焼のソースを見事に鼻の頭にくっ付けながら聞く竜之介。
「原作、竜之介式男女交際の13ページ(表紙を含む)の真ん中のコマで
ちゃんと登場してたんだなこれが。んで、 〔勝算あるのか…?〕って台詞言ってたのが僕ね。」

かなり無理が有る設定だが、東海林は架空の人物ではなく、れっきとした
『うる星やつら』の中の名も無いキャラなのであった。さあ、今から本を開いて確認してみようっ!!
(ちなみに、東海林 祭という名は、私が勝手に付けたので御了承下さいな。)

そして食事が終わり外に出ると、どこからか聞き慣れた声が聞こえてきた。
「竜之介さま〜 っ!!」
……渚であった。

 「竜之介さまっ!!」
いきなり現れて、竜之介に抱き付く渚。
「なっ、渚っっ!?てめえが何でここに……ゴホッ。」
渚の物凄い力で抱き付かれ、苦しいながらも言ってみた。
「だあって〜、ついさっき家に帰ったら、おじさまが
〔竜之介は今日、デートじゃよ。〕 って。それで、いてもたってもいられなくって〜 …。」
竜之介を強く抱きしめたまま話をする渚。
(ちなみに、渚は先週から里帰りをしていたため一話には現れてません…というより、すっかり忘れてました。(汗))
「そん…っで、……島から戻っきたって……訳…かっ…ゴホッ。」
苦し紛れに言う竜之介。さすがにこれ以上は我慢できなくなり、渚を突き放そうと試みたが…やはり無理だった。
そんな竜之介を気遣い、東海林は言った。
「…大丈夫?ごめん、僕の力じゃその腕外せないや……。だから、助けたいけど出来ないです…。」
少し弱気な発言である。
そんな東海林を渚は横目でちらっと見てから、言う。
「ちょっとあなた、あたしの許婚にちょっかい出さないでちょーだい。」
「!?」
〔なんとお??〕とでも言いたそうな顔になる東海林。
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。僕は藤波さんとデートしてるんだ、邪魔しないでくれよな。」
冷静な口調で言う東海林。いつもの『可愛い顔の東海林』には程遠い顔つきになる。
「デートぉ!?」
「そうだ。」
「本当なのーっ!?竜之介さまっ!!?」
よりいっそう竜之介を強く抱きしめる渚。
「本当も何も…、そう……おやじから聞いた…っからここに…来たんだろーが……。それより……放せ…よ、ゴホッ。」
やっと渚が腕を放すと、竜之介は渚から離れた。
「そーゆー事だから帰ってくれないかな。」
相変わらず、冷静な口調で言う東海林。
「んな事言って、どーせ条件付きのデートでしょ?そうじゃなくちゃ、竜之介さまがOKする訳無いもの。」
「なっ…!?」
〔何でわかったんだ!?〕とでも言いたそうな顔になる東海林。
「・・・で、それが条件の物かしら?」
と言いながら、渚は東海林の右手に握られていた茶色の紙袋を無理矢理奪い取り
許可無く中身を引っ張り出した。やはり、中身は憧れのミニスカとブーツであった。

「やっぱりね。」
何故か誇らしげな表情をする渚………と、その瞬間。
(ビリビリ〜ッ…ぐしゃっ……ぶちっ………バリッ!!)
竜之介の憧れのミニスカ達をむしった。
「!?」
東海林、絶句。
「て、て、て、て、てめえー、何しやがるっっ!!」
しばらく黙っていた竜之介が叫んだ。
「なによおー、ちょっと間違えてむしっちゃっただけじゃないっ。」
「うるせえっ、何が間違えてだっっ!思いっきりわざとじゃねえかっっっ!!って、てめえ、逃げんじゃねえっっ!!」
最後まで話を聞かずに、さっさと逃走した渚を追いかける竜之介。
こうしてデートはおじゃんになり、竜之介と渚は夕日を背にして去って行った。東海林、一人を残して…。
「高かったのに……。」
情けない声でそう呟いた東海林の足元には、ミニスカとブーツの無残な姿が有った。

つづく。 





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