竜之介式男女交際[キャンパス編]作:秀村さん
藤波竜之介、友引大学にて・・・・・・と言っても大学生になったから大学にいる わけでなく、多数の器物損害により、ついに友引高校・購買部を追放され、友引大学・購買部に移されたのである。 「きたねえぞ、おやじっ!!」 朝の光と共に竜之介の声はキャンパスを包み込んだ。 「きさまっ!父に向かってなんだその言葉はっ!!」 浜茶屋のおやじも負けていない。 「何偉そうな事言ってやがるっ!人の小魚くすねといてっ!!」 (バキィ・・・・・!!) そして、いつもの様に荒々しい一日が竜之介とおやじのダブルパンチの音と共に幕を開けてしまったのであった・・・ 何分、何十分経ったのだろう?竜之介は一人、畳の上で気絶していたらしい・・・ 「くそ〜、おやじの奴電気釜なんかぶつけやがって!卑怯だぜっ!!」 そう言いながら辺りをきょろきょろ見渡す竜之介・・・・と言っても 辺りを見渡すほど広い部屋でないのが何とも悲しい・・・。どうやら浜茶屋のおやじを探している様だ。 そして、ちゃぶ台の方に目をやると一枚の置き手紙を見つけた。 「!?何だ?え〜と・・・・・」 ≪父はしばし、親友だった潮渡くんの所に遊びに出かける。しっかり留守番しているように、以上。≫ 「!?」 驚きのあまり、声にならない声を出してしまう。当たり前である。死んだ親友とどう 遊ぶというのだ?浜茶屋のおやじが死んで、あの世で遊ぶとでもいうのであろうか? いっその事、そうなってくれた方が竜之介にも世の中にもどんなに良いか・・・ しかしっ!それはまず無いであろう。あのおやじの元親友の事だ、また前みたいに 渚と一緒に幽霊になって現れて、氷うに金時片手に遊ぶに違いない。 「ちっ!渚なんて嫌な名前思い出しちまったぜっ!!」 そんなくだらない事を考えていると、どこからともなく呼び声が聞こえてきた。 「すいませーん。」 声からすると男の客らしい・・・・・。 「へい、らっしゃい。」 竜之介、威勢良く返事をすると、そこには背は高いが頼りなさそうな男が立っていた。 友引大学の学生さんであろう。喧嘩をしたらすぐに「まいった!!」と言いそうな雰囲気の男である。 まさかこんな失礼な事を竜之介が考えてるとは知らず、男は笑顔で 「鉛筆5本下さい。2Bで。」 と言った。笑うと子供っぽく、可愛らしい顔つきになる。 下手したら竜之介よりも可愛いかもしれない・・。 お金を渡し、お釣を返してもらうと男は竜之介の顔をまじまじと見て問いかけた。 「どしたの?そのきず??」 さっき、浜茶屋のおやじと争った時にできてしまったおでこの傷を指しているらしい。 「なんでもねえよ、ほっといてくれっ!」 ぶっきらぼうに答える竜之介。だが、そんな竜之介の言葉を気にせず、男は鞄から バツ印のバンソ−コ−を取り出し、竜之介のおでこにぺたりと貼ってあげた。 「!?」 いきなりの行為だったので、意味無くファイティングポーズをとる竜之介。そして やっと口が開いたと思ったら・・・・ 「な、な、何しやがるんでえ、勝手にっ!これじゃあ、『三つ目がとおる』じゃねえかっ!!」 なあーんて言ってしまった。にしても、『三つ目がとおる』とはなんと古い・・・ 親切にしてあげたのに、こんな訳分からない事を言われてしまった男。怒るかな? と 思いきや笑顔で 「喧嘩も程々にしなよ、顔に傷でも残ったらどうするんだい?」 と言いながら背を向けて去ってしまった。竜之介は、そんな男の背を不信な気持ちで 見つめながら一言。 「何だ、あいつ?」 しかし竜之介は自分のその一言のせいで、あの男が最後にぽつりと言った言葉を聞き 逃してしまったのであった。 《特に、女の子ならなお更だよ・・・・・》 という有り難いお言葉を・・・・。 一日の全ての授業が終わり、学生達がわいわいとにぎやかに教室から出てくる。 そんな光景を竜之介は羨ましそうに購買部にの窓口から見ていた・・・。 「い〜よな〜、あんなちゃらちゃらしたもん着れてよ〜。」 ちなみに、竜之介が言う<ちゃらちゃらしたもん>とは、大学生のね〜ちゃん達がはいてる ブーツやミニスカートの事である。昔はぶらじゃあやせえらあ服やら何やらに 憧れていたが、今の竜之介にとってはそれらよりもブーツやミニスカートなどの大人の 女性達が身に付けている物に憧れているのであった。 そんな事を考えていた竜之介の前にいきなり何かが現れた。 「やあっ!!」 この可愛らしい笑顔・・・・・今朝の男!! 竜之介、いきなりの登場にこけそうになりながら相手を再確認した。 「な、なんでえ、おめえか!びっくりさせやがってっ!!」 すっとんきょうな声を上げる竜之介。 「あ〜、ごめんごめん。悪気は無かったんだ。」 男は可愛い笑顔で、舌を出しながら謝ってみせる。 「あったりめえだっ!悪気が有ったらぶん殴ってやるっ!!」 過激な台詞を言う竜之介。 「どうどう、まあ、落ち着いてよ。」 まるで、動物を相手にしたなだめ方である。 少し落ち着きを取り戻した竜之介は、そっけなく聞いてみる。 「・・・で、何か用かよ?また、2B鉛筆5本か??それとも今度は、HB鉛筆10本か???」 「いやあ、鉛筆はもういいんだ。ただ、誘いに来ただけ。」 男はこれ以上無い様な笑顔で言った。 「誘いに・・・・・?」 と竜之介。 「そう、誘いに。」 と男。 「・・・・・・・何の?」 変な人を見るような目つきで竜之介が聞くと、男は最大の笑顔でキッパリと言った。 「無論、デートにっ!!」 (ずるぅっ・・・・・!!) 思いがけない言葉にビックリし、今度はしっかりとこけてしまった。 「・・・・・てめえ、何言ってやがるっ!おれは女だっ!!」 ここで使う言葉ではないのに、いつも男に間違えられた時に使う言葉をつい口走ってしまった竜之介。 「知ってるよ、だから誘ったんだけどなあ。男が男なんてデートに誘う訳無いだろう?」 きょとんとした顔で答える男。そんな顔も可愛い男であった・・・って、おい。 「・・・・・・」 唖然とする竜之介。言われてみればそうである。男だから女をデートに誘うのだから、なんの問題は無い。 頭が混乱していた竜之介、やっと我に返るといきなり男の上着をつかみ問いかけた。 「お、おめえ、おれの事女って認めてくれんのか!?」 「認めるも何も、女の子じゃない・・・・・ゴホッ!」 竜之介の手を外しながら、あっさりと言ってくれる男。 「・・・・もういっぺん言ってみろ。」 期待の眼差しで言う竜之介。 「え・・・・」 さすがに、ぎょっとする男。 「頼むから、もういっぺん言ってくれ!」 再び、男の上着をつかむ竜之介。 「認めるも何も、女の子じゃない・・・」 仕方なく小声で言ってみた男。 「もっと大きな声でっ!!」 「認めるも何も、女の子じゃない・・・」 「もう一度っ!!」 「認めるも何も、女の子じゃないっ!!」 「もうひと声っ!!」 「認めるも何も、女の子じゃないっ!!!!」 (じ〜ん・・・・・・・) 竜之介、かつていも屋に「おねえちゃん」と言われた時と同じくらいの感動を味わう・・・・・・ 「んで、デートの件は?」 何事も無かったかの様な口調で問う男。 「・・・・・その前に、おめえ何て名前だ?」 上機嫌に聞く竜之介。よっぽど、嬉しかったのだろう。 「東海林 祭って者です。」(しょうじではなく、とうかいりんね。) 深々とお辞儀をしながら言う男、東海林 祭。割と、礼儀正しい男であった。 「ふ〜ん・・・・・、東海林ってのかあ、んで、でえとの件だけどよお〜・・・・・・・・」 少し照れながら言う竜之介。女以外に照れたのはこれが初めてではないだろうか? 何て言ったって、自分の事を初めから女だと認めてくれた男。 一寸ばかし、竜之介の理想の男性像で、『海みてえに荒々しくて、やくましくて、自分よりケンカが強いやつ』 には遠いとしても、諸星の様に嫌な気はしない。 「やっぱ、駄目?」 まるで、乙女バシカにかかった様な目で竜之介を見る東海林。 「駄目って言うかよお〜・・・・・・・・」 今まで一度も経験した事が無い事が起こってしまい、しどろもどろの竜之介。 「じゃあ、ミニスカとブーツ買ってあげるって言ったら?」 東海林、「これなら、どうだっ!!」と言わんばかりの表情で言う。 その瞬間、竜之介の頭の中は一瞬にしてミニスカとブーツ一色になった。そして、ためらう事無く即答。 「その話、のったぜっ!!」 ・・・・・これでは『あこがれを胸に!!』のパクリであるが、気にしない気にしない。と都合よく思う私であった・・・
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